ウツボ釣り・料理の総まとめ①【釣り方・下処理編】

釣り

水族館ではお馴染みのウツボ。最近はテレビやYouTubeで取り上げられ、食べられることを知った方も多いはず。実は簡単に釣れて美味しい上、数日分の料理にも使えるほど身が多い魚なんです!
本記事は、ウツボが釣りたいけど何をすべきか分からない方、ウツボ料理が気になる方向けに、ひっそりとウツボを5年間釣って食べ続けてきた筆者がウツボの釣り方から料理レシピまでお伝えします。
今回は釣り方・下処理について解説します。

ウツボの釣り方

簡潔に言うと、以下の通りにやればほぼ釣れたも同然です。

  1. [生息環境]関東以南の岩礁帯、ゴロタ浜、敷石が続く釣り場で
  2. [時期・時間帯]季節問わず、日没〜深夜にかけて
  3. [エサ]サバやイカの切り身を餌に
  4. [タックル・仕掛け]投げ竿と大きめのリール、太めの道糸、ジェット天秤、ワイヤーハリスを使用したぶっ込み釣り仕掛けで20~30mほど遠投し、竿立てに置いて待ちましょう。
  5. [アタリ・やりとり]ウツボが掛かったら竿を立ててゴリ巻きです!

それでは以下で1〜5を詳しく見ていきましょう!

1.生息環境

太平洋側なら千葉南房総以南、日本海側なら島根県以南の暖かい海に生息しています。

また、水族館のウツボを見ると、水槽の底の岩などに隠れていますよね。海においても、岩礁帯の磯やゴロタ浜、堤防のテトラポッド、敷石等が海底まで続いている場所が狙い目です。

少し具体的に言うと、首都圏近辺にお住みの方であれば、三浦半島の城ヶ島や伊豆半島のゴロタ浜に行けば釣れる可能性はかなり高いです。

なお、足場の悪い釣り場に行く場合は、必ずライフジャケットとスパイク付きのシューズを着用しましょう。

西伊豆のとあるゴロタ浜です。ウツボだけでなく様々なデカい魚が掛かってきます。

2.釣れる時期・時間帯

ウツボは通年釣れる魚ですが、旬は冬といわれています。一部では寒ブリならぬ寒ウツボなんて呼ばれ、皮下脂肪が増え美味しくなります。一方夏は個体数が増え動きも活発になるため、釣りやすさは上がるでしょう。

また、朝〜昼は海底の岩に隠れており、近くに獲物がいない限りあまり動きませんが、夜になると積極的に餌を探し回るため、日没~深夜の夜釣りの方が釣れる確率は高いです。

3.使うエサは?

主にサバの切り身を使います。理由としては、まず他の魚より皮の強度が高く、多少他の魚につつかれても針に残る確率が高いからです。同様の理由でイカの切り身も適しますが、安く手に入れやすいのはサバでしょう。なお、私の体感では塩サバよりも生サバの方が食いが良いです。

4.釣り方・仕掛け(タックル)は?

ぶっ込み釣りという釣り方をオススメします。下記仕掛けを20~30mほど遠投します(あまり遠投せずとも釣れます)。
その後は竿立てもしくは海に対して縦に角度をつけられる岩などに置きましょう。
この時竿の角度をつけておかないと、ウツボがかかっても竿に反応が出にくく、チャンスを逃す可能性が高まってしまいます。
ちなみにこのタックルですが、釣具屋に行かずとも全てAmazonで揃います笑

  1. 竿︰15~30号のオモリ負荷に耐えられる投げ竿またはルアーロッド
    (先端に竿用の鈴をつけるとアタリが分かりやすい)
  2. リール︰2000番以上のスピニングリール
  3. 道糸︰PE2号以上
  4. ジェット天秤:15号~30号
  5. ハリス︰ワイヤー(先端にスナップが付いているものが望ましい)
  6. 針︰カン付チヌ針5~8号

他にジェット天秤を使わず、根がかり対策として捨て糸と捨てオモリを使う方法もありますが、仕掛けの絡みが頻発するためオススメしません。
理由は、ジェット天秤で根がかり回避の技術を身に着ける方が今後の釣りライフ的、環境負荷的にもメリットと考えているからです。
投げ釣りでの根がかりの外し方については今後ページをアップする予定です。

5.アタリ・かけた後のやりとり

ウツボが掛かったら 竿先がジワーっと曲がるのが特徴です。確実に針がかりするよう、30秒〜1分ほど待ちましょう。その後、海底の根に張り付かれないよう、リールをゴリ巻きすると同時に一気に竿を立てましょう(この動作をアワセと呼びます)。

ウツボは1度海底から浮かすことが出来れば、後はゴリ巻するだけですが、1度根に潜られると中々出てきません。しかもそのまま放置すると大体根がかり…という最悪のコンボを回避するためにも、道糸が弛まない程度にリールを巻きつつ、1分ほど待った後に再びアワセましょう。

ウツボの締め方

解説の前に重要な注意点があります。ウツボは絶対に素手で掴もうとしないでください。ウツボは触られた箇所に的確に噛みついてきます。更にその歯は非常に鋭く、大けがにつながる恐れがあります。

頭の肉を出来るだけ取り除いてみました。サメにように鋭利な歯がずらりと並んでいます。

では無事ウツボを釣り上げられたとして、問題はその後です。
下の動画のように、暴れ狂うウツボをどうにかして持って帰らないといけません。

①ウツボが怖い人、処理が面倒な人、リスクを冒したくない人は、海水と氷でキンキンに冷やしたクーラーボックスにそのまま放り込んで下さい。多少味は落ちますが簡単かつ安全なので、初めの1匹はこの方法がよいでしょう。

②ウツボを最大限美味しく食べたい方は、締めた上で血抜きをしていくことになります。
まずは、釣り上げた後5分ほど暴れさせ、疲れさせましょう。少々残忍ですが、ウツボが十分ぐったりとした後、頭を踏みつけて固定しつつ、よく切れるナイフもしくは包丁でのこぎりを引くように頭付近の背骨を断ち切ってください。その後エラをナイフで傷つけ、海水を溜めたバケツで血抜きを行ってください。

ウツボの下処理・捌き方

釣り上げたウツボをキッチンまで無事持ち帰った後の流れを解説します。

1.ぬめり除去

捌き始める前に、入念に塩揉みして臭みの元凶ぬめりを落としましょう。このぬめりが残ったままだと全ての料理が台無しになります。最低でも3回は塩を交換し、写真のような白い泡が完全に無くなるまでこすり洗いしましょう。

また、冷凍保管する場合も最低限ぬめりはとっておきましょう。

2.部位の切り分け・胴体の下処理

写真Aのように頭部、胴体(肛門まで)、尻尾(肛門より下)の3部位に切り分けます。頭部を切り落とす際、喉奥にはウツボ特有の「もう一つの顎」が存在し、こちらにも鋭利な歯があるため注意してください。なお、頭部は基本そのまま使います。
下処理が楽で、かつ調理しやすいのは胴体(肛門まで)になりますので、まずはこの部位を解説します。

写真A

内臓が取りやすいため、背開きをオススメします。背ビレから包丁を入れ、切り進めると背骨に突き当たります。写真Bを参考に、斜め上に少し角度をつけて骨に沿えば内臓にたどり着けます。

写真B

開いた段階で内臓は手で引っ張って取り除きましょう。背ビレと背骨は独立しているため、その間から包丁を入れ背骨を切り離します。すると写真Cのような立派な開きになります。

写真C

更にこの開きを写真Dのように背びれ(青)、背側の身(橙)、腹側の身(赤)に分けておくと調理が楽になります。なお、腹側の身のみ全く骨が無いので、この部分が最も色々な料理に使えます

写真D

次に背側の身の処理です。ここには写真Eのように皮の近くに超かたい骨が整然と並んでいるため、これをどうにかする必要があります。
個人的に皮を引いてから骨の周りの肉を削ぎ落す方法が簡単かつ楽なのでオススメです。皮と削ぎ身は料理法が限られてしまいますが、美味しく食べれる部位に変わりないため割り切りましょう。

写真E 赤線と同じ薄い白のスジのようなものが全て超かたい骨です。じっくり揚げても噛み砕きにくいほどの強度を誇ります。

ちなみに高等テクニックなのでオススメしませんが、切り身として使いたい場合は骨に到達するまで削いだ身を、開きの要領で上に避けておきます。
その後骨と皮の間に包丁を入れ、骨を切り出してから、避けておいた身に少量の塩を付け被せるとそれっぽくなります。

3.尻尾(肛門より下)の下処理

こちらの部位は胴体と違い、写真Fのように腹側と背側どちらにも骨の列が入るようになります。そのため、背側の肉の処理にて紹介したように皮と削ぎ身の確保に留めた方がよいでしょう。

写真F 身を削ぎ落し骨を露出させました。青が背側で赤が腹側です。

4.下処理完了

これで下処理は完了です。
ここまでの処理で、1匹のウツボから写真Gくらいの身を得ることができます。結構な量になりますよね笑
次回の料理編ではこの状態から進めます。

写真G

終わりに

首都圏にお住みの方でも気軽な距離で釣ることができ、更に釣りやすく引きもあり楽しいウツボ釣り。ウツボって釣れるの!?という段階からこのページをご覧になった方も、何度もこのページを見返して是非チャレンジしてみて下さい!
次回ウツボ料理編では、私が実践してきたいくつかのウツボ料理をご紹介します。
美味しく仕上がった料理ばかりなので、そちらも併せて見てみてくださいね!

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